2013年6月14日金曜日

怒るときは怒ったほうが人間関係はラク

 私は四十数年、東京の新宿区四谷に住んでいた。
 しかし、数年前、現在の場所に引っ越した。さまざまな事情があったのだが、最初は引っ越しに反対だった。ずっと住み慣れた土地を離れてまったく新しい土地に住むのはイヤだし、めんどうだ。実際に、いろいろなマイナスの出来事も起こった。

 四谷の家をオフィスビルに建て替えるために、いつから壊し始めるから、いつまでにカラにしろと息子がいってきた。しかし、私は仕事があるから、それに専念するわけにはいかない。膨大な本の整理なども遅々として進まない。この「追いつめ状態」によって、私は「うつ状態」になつてしまった。

 ところが、ここで、うまい具合に「現実逃避状況」が起こつた。ウィーンでの講演を頼まれて、夫婦で出張せざるをえなくなったからだ。その準備などに夢中になり、心が現実から離れることができ、私は幸いにも回復した。

 引っ越しも、マイナス面ばかり考えていたらできなかっただろう。「ひとつどういうことになるか見てやろう」という好奇心があったからできたし、今になってみればこれでよかったと思える。マイナス面を恐れて臆病になると何もできない。引っ込んでばかりで行動しなかったら、新たなプラスもない。

 ただ、マイナス面は、我慢するより、そのときそのときで発散してしまうほうがいい。患者さんで、四十年前の浮気を細君に責められ続けて、うつ状態になっている人がいる。別居状態なのだが、ひんばんに電話がかかってきて攻撃される。奥さまにしてみれば、若いころ、貧乏なときに一生懸命に働いて夫を助けたのに、浮気をしたのが許せないというのだ。

 これまでは我慢していたのだが、年をとってブレーキがきかなくなったのであろう。しかも、長年ためてきた恨みなので執拗である。もしも、その当時、派手に夫婦ゲンカをしていたら、こういうことにはならなかったのではないか。

 我慢のしすぎは、かえっていつまでもマイナス面にこだわることになる。怒るときは怒る。悲しむときは悲しむ。あとはすっきり前に進むのがいちばん幸せな人だ。

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